あなたの源泉徴収票は正しいですか?2
さて、前回の「あなたの源泉徴収票は正しいですか?1」の続きを書いていきます。
今回は緑③の「所得控除の額の合計額」の確認方法からです。
上の「源泉徴収票」の内容でみてみますと、
「橙⑤+桃⑥+紫⑦+基礎控除(38万円)=緑③」の計算式で求めることができます。
基礎控除については、後々「所得控除」をまとめてご説明できればと思います。
実際に金額を当てはめていきますと、
「497,306円+50,000円+840円+380,000円=928,146円」となり、緑③と一致することがわかります。
また、上の「源泉徴収票」には「無」となっている、「控除対象配偶者の有無等」という欄(手書きで「給料・賞与」と書いているすぐ下の欄です。)が「有」の場合はさらに所得控除が38万円増えます。
「配偶者控除」に関しては、主婦(主夫)の皆様はかなり目を光らせていらっしゃると思いますので、今回は割愛します。
(「年収」を103万円未満に抑える以外で「配偶者控除」を受ける手段もありますが、またの機会に。。。)
このあたりの「扶養となる親族」は実はかなり複雑ですので、また別の機会にご説明したいと思います。
次に、黄④の「源泉徴収税額」を見ていきましょう。
この確認が最も重要であり、「源泉徴収税額」の確認をするために今までの確認を行ってきたと言っても過言ではありません!!
それはそうですよね、「源泉徴収税額」が間違っていれば、税金を納めすぎている可能性がある、ということです。
少し複雑になりますので、順を追って説明していきます。
以前に説明させていただきました「所得」(正確には課税所得)を計算し、その金額に「所得税率」を掛けることで「所得税額」を求めることができます。
少しおさらいになりますが、「所得」を求めるためには、「青②-緑③≒課税所得」の計算式を使います。
≒としましたのは、「課税所得」は「千円以下の金額を切り捨てて計算する」からです。
実際に金額を見てみましょう。
「2,900,000円-928,146円=1,971,854→1,971,000円(千円以下切捨て)」となります。
これで、「所得税額」を求めるための「課税所得」が計算できました。
さあ!ドキドキの「所得税額」の計算です!!
所得税額速算表
課税総所得金額等 | 税率と控除額 | |
---|---|---|
1,950,000円以下 | 課税所得金額×5% | |
1,950,000円超 | 3,300,000円以下 | 課税所得金額×10%-97,500円 |
3,300,000円超 | 6,950,000円以下 | 課税所得金額×20%-427,500円 |
6,950,000円超 | 9,000,000円以下 | 課税所得金額×23%-636,000円 |
9,000,000円超 | 18,000,000円以下 | 課税所得金額×33%-1,536,000円 |
18,000,000円超 | 課税所得金額×40%-2,796,000円 |
↑
この速算表を使って計算します。
「課税所得」は「1,971,000円」ですので、上から二行目を使って計算します。
「1,971,000円×10%-97,500円=99,600円」
そして確認!
間違いなくてよかったです♪ほっとしました。。。
え?あなたの源泉徴収票は合わない?!
すっかり忘れておりました、もしかして住宅ローン控除を受けていらっしゃいませんか?
住宅ローンの控除は、ローンを組んだ時期、返済のスピードによって変わりますので、とてもとても、簡単に説明することができません!
ですので、ここは簡単に計算方法だけ。
先ほどの計算で求めた黄④「源泉徴収税額」から紫⑦の右側の欄の金額を差し引いていただくだけで計算できます。
住宅ローン控除は、「所得控除」ではなく「特別控除」とされ、直接税金を減らしてもらうことができます。
ですので、黄④「源泉徴収税額」を計算した後に、住宅ローン控除の金額を差し引いてください。
これで無事、あなたの源泉徴収票は一致しましたね♪
ええっ?!まだ合わない?!!
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一緒に確認をしてくださった方、すいません、少しいじわるしてしまいました。
実は平成25年から「復興特別所得税」という税金が追加されています。
皆さんご存知のとおり、東日本大震災の復興支援のための税制改正です。
実際は何に使われているのか分かりませんが。。。と文句はさておき、平成25年以後の所得税額に対し、2.1%を上乗せするのがこちらの「復興特別所得税」です。
上の源泉徴収票は「平成23年分」と書かれていますね。平成23年はまだ「復興特別所得税」はありませんでしたので、「平成23年分の源泉徴収票の確認」はここまででおしまいです。
実は、ここも重要な確認ポイントです!「平成○○年分」が合っているかどうか、しっかりと確認してください。
毎年といっていいほど税制改正が行われておりますので、「平成○○年分」によって、計算が変わったりします。
さて、せっかくなので、サンプル税太くんの「源泉徴収票」を「平成25年分」と仮定して計算してみましょう。
「99,600円×102.1%=101,691.6→101,600円(百円未満切捨て)」となります。
お手元の「平成25年分の源泉徴収票」でもこのように計算してみてください。そうすれば「源泉徴収税額」とぴったり合うはずです。
ここまで確認して、金額が合わない場合は間違えている可能性が非常に高いです。お勤めの職場に確認してください。
そうすれば多く納税していた分が返ってくるかもしれませんので、絶対に確認してください!!!
納税額が足りなかった場合は、、、あなたの善意にお任せします(笑)
すいません、予想以上に長くなってしまったので、今回はこの辺で終わりたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました♪
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[…] 上の式で0.1の部分が自分の場合はどうなるかを詳しく調べるには給与所得の源泉徴収票を見ながら計算するとわかります。(源泉徴収票の見方については「税ブロ!!」さんのページがすごくわかりやすかったので参考にさせていただきました。) […]