国民健康保険と社会保険や組合保険の違いとは?
今回も前回に引き続きまして、友人から質問を受けた内容を記載していきたいと思います。
今回は、「国民健康保険」と「社会保険」「組合保険」の違いについてご説明できればと思います。
皆さんが普段、医療機関を受診する際に提示する「保険証」、あまり気にすることなくお勤め先から渡されたり、お住まいの市町村から渡されるものを使用されていると思います。
そもそも、日本は「国民皆保険制度」という名の下に、国民全員が保険制度を利用する義務を負っています。
「国民健康保険」「社会保険」「組合保険」は、その運用元が違い、それぞれ保険料などの支払い金額も違います。
それでは、「国民健康保険」から見ていきましょう。
「国民健康保険」は、各市町村が運営元であり、各市町村によって保険料の計算方法も違います。
そして、「国民健康保険」そのものが、他のどの保険にも加入していない場合に加入しなければならない保険であり、これにより「国民皆保険制度」が補完されています。それ故(かどうかはわかりませんが。。。)、一番保険料が高く設定されているのもこの制度です。
次に、一般的にサラリーマンなど、正規雇用の方が加入する保険が「社会保険」と呼ばれる保険を見ていきましょう。
こちらは、各都道府県が運営元であり、こちらも各都道府県により保険料に若干の差があります。昔は一律同じ保険料でしたが、各都道府県により人口等違いがありますので、保険料に差が生じるようになりました。
そして何よりも、「社会保険」はお勤め先(雇用元)が半分負担しなければならない、という法律が存在します。ですので、基本的に皆さんがお給料から差し引かれている金額と同額をお勤め先が支払ってくれているということです。退職しないと気付きませんが、とても有難いことですよね。
ですが、比較的保険料が安いこともあり、退職後も「任意継続」という制度があり、お勤め先が支払ってくれていた金額を自分自身が負担することにより、最長二年間は「社会保険」に加入し続けることができます。こちらは退職から20日以内に手続きが必要です。詳しくは「全国健康保険協会(協会けんぽ)」に確認していただくことをお勧めします。
最後に、「組合保険」について見ていきましょう。
この「組合保険」とは、上記2つ以外で厚生労働大臣の認可を受けた事業所が設立した健康保険組合です。
種類は様々で、そのお勤め先でのみ加入できる「組合保険」(単一型健康保険組合)、同じ業種の複数の会社が共同で設立する「組合保険」(総合型健康保険組合)、同じ都道府県で設立された健康保険組合が合併して設立する「組合保険」(地域型健康保険組合)があります。
極端に何かが変わるわけではありませんし、基本的に「国民健康保険」「社会保険」よりも保険料を安くしているところが多いのですが、これら「組合保険」は、倒産する危険性も秘めている、というデメリットもあります。
様々記載いたしましたが、結局のところお勤め先が選択している保険に加入することしかできないので、採用してもらう側としてはよほど大企業でない限りは選択することができません。
支払う保険料としては、「国民健康保険」>「社会保険(協会けんぽ)」>「組合保険」となりますので、その時点での有利不利をしっかりと判断して決めるように心がけてくださいね。退職して自然と「国民健康保険」に加入すると、とんでもない保険料を支払わなければならなくなるので、お気をつけください!!!
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※上記の内容は、平成26年9月30日時点の法律に則って記載しております。
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