個人事業主の青色申告のメリット・デメリットとは?
前回は「実際の事業所得での節税例」「退職してから起業するより、起業してから退職すべき」といった内容を書かせていただきました。
今回は最後に触れました、「個人事業主(事業所得での青色申告をすること)のメリット・デメリット」を見ていきたいと思います。
何より一番のメリットは、「青色申告」により最高65万円の控除が受けられることです。(措法25の2)そのため、「儲け」が65万円出ても税金はかかりません。
さら上記の申告をすることにより、「租税特別措置法」と呼ばれる、いわゆる「特例」の税制メリットを受けることができます。
これだけで、他の所得よりも圧倒的に節税メリットがあります。
例えば、10万円以上のものは「減価償却資産」として「減価償却費」で少しずつ経費にする決まりも、「特例」により30万円未満まで全額その年に「減価償却費」として経費にできるようになります。(上限300万円、措法67の5)
他にも、配偶者が協力して働いてくれることに対し、「青色事業専従者給与」としてお給料が渡せる(所法57、所令165)、「雇用促進税制」として前年より雇用者が増加した場合税金が安くなる制度(措法42の12の4)や、「貸倒引当金」の計上、「繰戻し還付」など様々あります。
これらは、「事業所得」又は「不動産所得」や「山林所得」で「青色申告」をしていないと受けることができないメリットです。
ただし、「青色申告」のデメリットとしては「正規の簿記の原則に従って会計帳簿を作成し、保存する義務が生じる」ことです。
もう、文章からして面倒な感じがしますね。。。
「帳簿記帳」いわゆる「簿記」の資格を取っている人なら、な~んだと思うことかもしれませんが、一般的には触れることのない「仕訳」という会計処理を行う必要があります。そして、それらの根拠となる資料や領収書を最長7年間保管しなければなりません。
こういったことをまとめて引き受けてくれるのが「税理士」さんです。(税理士さんによって請け負ってくれる範囲は異なります)
もちろん、税理士さんも商売ですので、依頼するにはお金がかかります。もちろん、優れた税理士さんは税金の専門家でありプロフェッショナルです。しっかりとした税理士さんに巡りあえれば支払ったお金以上のメリットがあることもありますので、税理士さんを選ぶ時は本当に信用できる相手なのかを十分時間をかけて選びましょう。
少し脱線してしまいましたが、簡単にメリットデメリットをまとめるとこのようになります。「個人事業主」として働くことにより節税の可能性は大きく増えますので、副業をされている方、これからしようとされている方はぜひご検討ください。
※上記の内容は、平成26年10月9日の法律に則って記載しております。
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