年収103万円と年収130万円はどちらがお得?
さて、今回から「年末調整」に関する内容を書いていこうと思っておりましたが、「実際のところ、103万円超えて働くと損するの?!」という質問をいただきましたので、タイムリーな話題であることと、12月のシフトを提出する前に知りたいとのことでしたので、今回は内容を変更して書かせていただきます。
お給料を103万円以下にすることでいくら節税できているの?
まず最初に知っておいていただきたいことは、「配偶者控除でいくら税金が減っているか」です。
実は、実際にいくら税金が減っているかは知らない人が多いです。
まずはそこを知ることから始めましょう。
少し久しぶりのサンプル税太くんです。彼が結婚して配偶者を扶養しているケースで計算式を見てみましょう。
くどいようですが、課税所得の計算式は「青②2,900,000円-緑③928,146円=1,971,854→1,971,000円(千円未満切捨て)」です。
そこから「配偶者控除380,000円」が追加で控除されます。
「1,971,000円-配偶者控除380,000円=課税所得1,591,000円」
合わせて所得税の計算をしてみましょう。
「1,591,000円×5%=79,550→79,500円(百円未満切捨て)」
サンプル税太くんの元の所得税額は黄④の「99,600円」でしたので、
「99,600円-79,500円=20,100円」が「配偶者控除による所得税の節税メリット」です。
次に、「住民税」を計算します。「住民税」は一律10%ですが、住民税の配偶者控除は330,000円と、所得税の配偶者控除よりも50,000円少ないです。
「住民税の配偶者控除330,000円×10%=33,000円」が「配偶者控除による住民税の節税メリット」です。
(詳細な住民税の計算はもっと複雑ですので、実際は上記と数百円程度誤差が生じる可能性があります。)
合計しまして、「20,100円+33,000円=53,100円」が「配偶者控除で実際に税金が減っている金額」です。
ぜひ前年の源泉徴収票をお手元に計算してみてください。
(注:すでに配偶者控除を受けていらっしゃる場合は、配偶者控除380,000円を課税所得に上乗せして差額を計算してください)
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お給料を130万円以下にするのはなぜ?
次に、なぜお給料を130万円以下に抑える人がいるのかを見てみましょう。
ご存知の方が大半だとは思いますが、「社会保険の扶養」に入るためですね。
年収が130万円を超える場合、配偶者の扶養には入れず、ご自身で国民健康保険に加入して支払い、国民年金も支払わなければなりません。
(ご結婚されていても夫婦共に正社員で働かれている場合はそれぞれ社会保険に加入されているはずです。)
平成26年時点の国民年金は月額15,250円です。
国民健康保険は各市町村ごとに計算方法が違うので一概には言えませんが、大阪市が発表している平成26年のデータでは平均年額99,689円の納付になるようですので、今回はこれを用いまして、
「15,250円×12ヶ月+約99,689円=約282,689円」
となります。つまり、年収130万円以内で「社会保険の扶養」に入っていたが、年収が130万円を超え「社会保険の扶養」から外れた場合、約282,689円の国民健康保険、国民年金を支払わなければならなくなります。
これはかなりの負担増ですよね。ですので年収130万円は超えないほうがよさそうです。
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結果として・・・
結果的に、どれぐらいの収入が一番いいのか、ですね。
ご家庭によって、手にしたい収入の金額に違いがあると思います。
それでもあえてどれぐらいが良いかを検証してみましょう。
サンプル税太くんの配偶者(奥さん)がパートで働く場合、「税金の配偶者控除」のメリットは53,100円です。
つまり、103万円を超えるならば108万3,100円以上収入を得ないと、103万円を超えないほうがよかった、ということになります。
厳密に言いますと、収入が増えた分今度は税金が発生しますので、もう少し収入を増やさないと損をします。
「年収103万円を超えてしまうならば、年収130万円ギリギリまで収入を増やすほうが良いが、年収130万円は超えないほうが良い。」
といった感じでしょうか。
さらに、年収103万円を超えても一部控除を受けることができるので、確実にそのほうがいいでしょうね。
年収130万円を超えますと、そこから約30万円タダ働きだと考えると(タダ働きではないですが)、頑張る気力もなくなりそうですね。
年収103万円と年収130万円の比較、いかがでしたでしょうか。
現在、「配偶者控除」を無くす話し合いがされていたり、「社会保険に加入できる条件」を緩和して週20時間働く人や、月88,000円以上収入を得る人を強制的に社会保険に加入させようとする法改正も検討されています。
もちろん賛否両論ありますが、個人的には国民に選択権を与えない改正が多いなぁと感じております。
何はともあれ、しっかりと情報は得ていかないといけないですね。
次回は103万円を超えても控除を受けることができる、ことをご説明させていただきたいと思います。
※上記の内容は、平成26年10月25日時点の法律に則って記載しております。
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