贈与税の申告はしたほうがいいの?
すっかり寒くなってきましたね。
最近はご質問いただいたことにお答えすることも増え、ネタ切れにならずに助かっています(笑)
なるべく分かりやすくお答え致しますので、これからもどしどしご質問をお寄せください。
さて、今回いただいたご質問は「贈与税の申告はしたほうがいいの?」という内容です。
それでは順を追ってご説明致します。
110万円までなら税金はかからないのですよね?
以前「贈与税ってなあに?」で贈与税には基礎控除が110万円あり、それ以下であれば税金は発生しないことをご説明致しました。
そのため、基本的に110万円以下の贈与であれば、「贈与税申告」をする必要はありません。
しかしながら、それでは贈与が成立したかどうかの証拠を残すことができないのです。
以前お伝えしましたとおり、意識的に贈与をする方は、相続税対策で取り組まれることが多いです。
そのような場合は、「贈与が成立したこと」を証明することが必要となります。
どうやって贈与を証明するの?
一般的には贈与が成立した証拠を残すために「贈与税申告」をすることが多いです。
その「贈与税申告」に代えて「贈与契約書」を残すことで贈与を証明することもできます。
「贈与契約書」とは贈与した人(支払った人)と贈与を受けた人(受け取った人)がお互いに署名し、保管することにより、贈与があった証拠を残す契約書です。
これで、実際に贈与があったことを証明することができます。
では、これがあれば「贈与税申告」をする必要はないのでしょうか。
毎年の贈与は危険?!
相続税対策を行うにあたり、毎年贈与を行う人が多いです。
毎年贈与をすることにより、相続税を減らすことができる対策です。
しかしながら、毎年110万円以下の贈与を行った場合、「贈与税申告」を行う必要がありません。
もちろん、毎年「贈与契約書」を残しておけば、贈与自体は成り立つはずです。
ですが、ここから「民法」と「税法」の違いが関係してきます。
毎年110万円の贈与を5年続けると550万円の贈与?!
実は過去の判例で110万円の贈与を5年続けた際に、550万円の贈与として税金を払わされたケースがあります。
これまでに記載しましたとおり、110万円以下の贈与のため、「贈与税申告」を行っていなかったそうです。
そのため、元々550万円の贈与をする予定を5年に分けて贈与した、という判断をされてしまいました。
「贈与契約書」により「民法上」毎年の贈与は認められたものの、「税法上」贈与は550万円と判断されたのです。
少し難しいですね。 民法で定められている「贈与」と税法で定められている「贈与税」は同じではないということです。
では、どうやって対策すればよいのでしょうか。
毎年贈与税申告を行いましょう!
このように、後ほどの追徴を避けるためには、毎年「贈与税申告」を行うしかありません。
そのため、税理士の方は「111万円」贈与を行い、1,000円だけ贈与税を納税することにより、毎年「贈与税申告」を行う提案をしてくださる場合があります。
一番手間がかからず効果的な相続税対策です。
さらに、優秀な税理士は「110万1千円」贈与することを提案してくださいます。
贈与税は1,000円未満の端数は切り捨てです。
つまり、「110万1千円」の贈与にすることで、贈与税を納めずに「贈与税申告」を行うことができます。
税理士もさまざまな種類の方がいらっしゃいます。
こういった提案ひとつ取っても、私たちのことを考えてくださる税理士さんが本当に優秀な税理士なのだろうと私は思います。
最後は少し脱線しましたが、こういった細かい対策をすることで本当の節税ができます。
あなたも今から税金対策に取り組んでみてはいかがですか?
※上記の内容は、平成26年11月24日時点の法律に則って記載しております。
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