平成27年度税制改正大綱 《雇用促進税制の拡充》
さて、今回も税制改正大綱について見ていきましょう。
今回は、雇用促進税制の拡充についてです。
まずは、雇用促進税制が何かを見てみましょう。
雇用促進税制とは?!
雇用促進税制を簡単に申しますと、「雇用促進計画」をハローワークに提出しておけば、その年に雇用者(雇用保険加入者)を5人以上(中小企業者等は2人以上)増加させ、かつそれが10%以上の増加となる場合、一人あたり40万円の税金を減らしてもらえる制度です。
詳しくは→厚生労働省HPより「雇用促進計画の提出手続き(PDF)」
トヨタ自動車の契約社員切りが起こってから、しっかりと正社員を増やそうとするために作られた制度です。
失業率の改善などを目的にしているようですが、それによりどう変化したかのデータ公表はまだされておりません。
しかし、会社を設立される経営者や、事業規模拡大をされる場合はこれだけで節税対策になります。
しかも、「雇用促進計画」に合わなかった場合でも罰則などはまったくありませんので、出しておいたほうが有利です。
そして、今回その制度がさらに拡充されます。
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どれぐらい拡充されるの?
まず、承認期限が平成30年3月31日まで延びるようです。
そして、地域再生法改正が施行される日から「地方拠点強化実施計画」について承認を受け、上記の条件を満たした場合の税額控除額が40万円→50万円に増加されるようです。
さらに、全ての条件を満たさなかった場合でも一部税額控除が認められるようになるようです。
記載されているのは、「雇用者数が10%以上の増加となる場合」以外の条件を満たしている場合であれば一人あたり20万円の税額控除が受けられる、といった内容です。
これでますます「雇用促進計画」を出したモン勝ちですね。
ただし、ほとんどの事業所は提出しませんし、税理士さんもあまり教えてくれません。
税理士さんからすると手間がかかって自分には利益が小さいので、小規模な会計事務所であればなかなか提案してくれないのです。
ですので、これをきっかけにこちらから提案してあげてください。
そうすると断ることはできないでしょうから。
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初年度以降も税額控除が受けられる?!
上記の承認を受けておけば、適用を受ける事業年度以後の各事業年度で前事業年度からの増加雇用者数の合計額に30万円を乗じた金額を税額控除してくれるようです。
つまり、新しく雇った人の年収30万円は国が負担しますよ、ということですね。
ちなみに、事業主側が解雇したり、風俗営業等を行っている場合には適用対象外と記載されております。
どちらにせよ、経営側はとりあえず出せばメリットを受けることができる可能性のある制度です。
税理士さんも、手続きは全てこちらで行いますので、適用した場合は10%手数料として下さい、という提案がしやすいでしょう。
国が雇用対策のために、頑張って働いた人が支払った税金をこうやって使っています。
税金の使われ方は誰も教えてくれませんので、こういったところから紐解けるようにしておきたいですね。
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※上記の内容は、平成27年1月20日時点の法律に則って記載しております。
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