ケースでみる企業年金の受取り方《公的年金等控除》
さて、前回は企業年金を受け取る際、「退職所得控除」を受ける場合について書かせていただきました。
今回は年金として数年に分けて受け取り、「公的年金等控除」を受ける場合を見てみましょう。
分割で受け取る場合は「公的年金等控除」が受けられます!
今回は、「確定拠出型」の年金を「分割」で受け取り「公的年金等控除」を受ける場合を見てみましょう。
前提条件は前回とほぼ同じ内容に少し追加して以下のとおりです。
確定拠出型年金受取合計額:2,500万円
勤続年数(確定給付型年金加入期間):39年2ヶ月
受取期間:10年間
受取開始:65歳
「確定給付型」と「確定拠出型」をあえて変更しましたが、どちらも基本的に税制の影響に変化はありません。
上記の場合で「公的年金等控除」を受ける場合、どれだけの税金が発生するのか見てみましょう。
10年間に分けて受け取りますので、1年間に受け取る年金額は「250万円」です。
「250万円」の場合、「年金額×85%-785,000円」の計算式で所得を計算します。
実際に計算しますと、「250万円×100%-120万円=130万円」となります。
これで「企業年金」を「分割」で受け取る場合の「1年間の雑所得」の計算ができました。
ここからは、税額を計算していきましょう。
実際にかかる税金を計算してみよう!
さきほどの計算により、「毎年130万円の雑所得が10年間続く」ことがわかりました。
そこから税額を計算しますと、「130万円×5%=65,000円」が所得税、「130万円×10%=130,000円」が住民税、合計195,000円が1年間にかかる税金です。
「195,000円×10年間=1,950,000円(195万円)」の税金が10年間合計で発生します。
ほとんど同じ条件で計算しましたところ、「一括」で受け取った場合は約22.5万円の税金がかかり、「分割」で受け取った場合は約195万円の税金がかかることがわかりました。
しかしながら、一般的には「一括」で受け取るよりも「分割」で受け取るほうが「受け取れる金額の合計額」は増えることが多いのです。
つまり、「一括」で受け取った場合は「分割」で受け取った場合よりも「税金が172.5万円少なくなる」わけですから、「分割」で受け取る金額が、「一括」で受け取る金額よりもどれだけ多いかによって有利不利が変わってくるのです。
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おわりに・・・
前回と今回の計算により、あなたが企業年金を受け取る際に、「一括」か「分割」のどちらを選択するのか、計算をしてみることができるようになりました。
もちろん、ご自身のライフプランに合わせて、受け取る金額は小さくなるが「一括」で受け取ることを選択する必要もあるでしょうし、納税額が大きくなっても「分割」で受け取ることもあると思います。
実際に企業年金を受け取る際に、「そういえば計算方法があったなぁ」と思い出していただけると幸いです。
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※上記の内容は、平成27年4月15日時点の法律に則って記載しております。
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