個人事業主や零細企業でも導入できる企業年金はないの?!
さて、今回で「企業年金」シリーズも最終です。
個人事業主や零細企業でも導入できる企業年金について書かせていただきます。
個人事業主や零細企業でも導入できる企業年金はないの?!
基本的に「企業年金」は大企業が運用するように設計されていることが多いです。
しかし、個人事業主や零細企業なども企業年金のような制度を持てるようにいくつかの制度が用意されています。
その中でも「中小企業退職金共済制度」「小規模企業共済制度」「国民年金基金」について詳しく見ていきたいと思います。
まずは「中小企業退職金共済制度」です。
一般的に「中退共(ちゅうたいきょう)」と省略して呼ばれることが多いです。
この制度は、原則従業員全員加入です。
ですが、役員や個人事業主本人およびその配偶者等は加入することができません。
掛金は全額事業主が支払うこととなっており、従業員が追加で払うことなどはできません。
法人も個人も全額経費(損金算入)になります。
まさに名前のとおり、従業員のための退職金制度です。
国が運営しているこの制度とほぼ同じ、「特定退職金共済制度」という制度もあり、運営元が市町村や商工会議所である以外はほとんど違いがありません。省略して「特退共(とくたいきょう)」と呼ばれることが多いです。
残りの2つも詳しく見ていきましょう。
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「小規模企業共済制度」「国民年金基金」
「小規模企業共済制度」は、従業員が20名以下の会社の役員や個人事業主が事業そのものを廃業、又は退職した場合に、退職金として「共済金」が支払われる制度です。
こちらは月額1,000円から500円刻みで設定することができ、月額70,000円が上限として設定されています。
支払った金額は全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。
「国民年金基金」は、国民年金の第1号被保険者が年金を上乗せできるように作られた制度です。
条件はこれだけで、任意で加入することができますが、なぜか任意で脱退することはできません。
加入の単位が「口数」となっており、1口当たりいくら支払うか、またいくら将来もらえるかがすでに決まっており、国民年金基金のHPでシミュレーションすることができます。
1口目は必ず終身年金に加入することとされており、2口目以降は終身年金と確定年金のどちらかを選択することができます。
支払った金額は全額「社会保険料控除」として所得控除の対象ですが、「確定拠出年金」と合わせて月額68,000円が上限です。
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おわりに・・・
他にも、民間の保険会社が独自に制度を構築していたり、有名なものであれば「財形年金貯蓄」などもあります。
今回は税制メリットもある3つを選択して書かせていただきました。
従業員のため、自身のため、節税のため、配偶者の老後のためなど、用途により様々な制度から選択できるようになっています。
まずは選択肢があることだけでも覚えておいていただけると幸いです。
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※上記の内容は、平成27年4月16日時点の法律に則って記載しております。
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