こうやって見たら「VALU」って無敵じゃない?
すごく久しぶりに書きます。すみません、ホント。
今回は個人的に「VALU」が気になったので、備忘とこれからの各省庁の対応がどうなるかも期待して書いています。
僕は税金を扱う仕事をしていたこともあって、新しいコトやモノをつい「税務的にはどうなんだろう」「会計処理はどうなるんだろう」といった視点で見てしまいます。
そのため、あくまで入り口は税務的、会計的なところからはじまっておりますので、意味が分からない人も多いと思います。
平成29年7月18日時点での取り扱いについておさらいしながらわかりやすく書いているつもりなのですが、ややこしいし長いしなので面倒な人は最初と最後だけご覧ください。
「VALU」って無敵じゃない?
僕が「無敵じゃない?」と思ったのは、現時点で「VALU」は全ての「入り口」になり「楔(くさび)」になるのではないか、と考えたからです。
投資家の「入り口」「楔(くさび)」、個人事業主の「入り口」「楔(くさび)」、副業の、節税の、コミュニケーションの、ビジネスの、豪華な決算書への……などなど
何を始めるのにも使えるし、何かをしている人は何にでも活用することができる。
サッカーで言うと、GKからFWまでできる人がベンチメンバーにいるみたいな感じです。うん、例えが上手にならない。
ここからは僕が、なぜそのように考えたのかを、税務的、会計的視点で、バリバリの主観で書いていきます。
最初に書いたように、面倒な人は6 脱「専属サラリーマン」から読んでください^^
1 仮想通貨の定義とは
2 「VALU」の扱いは?
3 「VALU」で儲かった場合、損した場合の税金はどうなるの?~消費税法~
4 「VALU」で儲かった場合、損した場合の税金はどうなるの?~法人税法・所得税法~
5 「VALU」を「事業所得」にしてしまえば、損失は損失ではなくなる
6 脱「専属サラリーマン」
7 こうやって見たら「VALU」って無敵じゃない?
8 おわりに・・・
1 仮想通貨の定義とは
改正され平成29年4月1日より施行された「資金決済に関する法律」内で、ビットコインなどの仮想通貨について定義されました。
この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移することができるもの
※金融庁HPより抜粋。詳細を知りたい人は金融庁HPへ
簡単に言うと、仮想通貨は「カネ」としての扱いではなく、「モノ」としての扱いですよ、ということです。
極端に例えれば、20万円分のビットコインを持っているということは、20万円分の通貨(円やドル)を持っているのではなく、20万円のツボや絵画を持っているのと同じ扱いだとういうことです。
あくまで日本での金融商品取引法上の定義ですけどね。
2 「VALU」の扱いは?
ホリエモンこと堀江さん@takapon_jpも参加している、今話題の「自分有価証券」「模擬有価証券」とも呼ばれる「VALU」。そこで扱われる「VA」(株式の単位のようなもの、1VA≒1株みたいな)もおそらく現時点では「仮想通貨」として扱われます。
ただ、「VALU」の運営は、改正資金決済法における「仮想通貨交換業」には該当しない、といった記事もあり、「VA」が「仮想通貨」とされると断定はできません。
ただ、他に当てはめる枠がない、ということもあり、現時点ではビットコインなどと同じ括りになるでしょう。
※「VALU」を詳しく知りたい人は、キングコング西野さん@nishinoakihiroが「お金の奴隷解放宣言」として「えんとつ町のプペル」という絵本を無料公開したのと同じ手法で、中島太一さん@taichinakajiが「VALU生存教本」を無料公開していらっしゃるので、そちらへ
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3 「VALU」で儲かった場合、損した場合の税金はどうなるの?~消費税法~
まず、つい最近、平成29年7月1日に改正され施行された消費税法から。
資金決済に関する法律に規定する仮想通貨の譲渡について、消費税を非課税とす るとともに、課税売上割合の計算上、資産の譲渡等に含まないものとする。(第9 条、第 48 条関係)
※財務省HP内より抜粋。詳細は財務省HP及び財務省発行PDFへ
※は?非課税は限定列挙だろうが!おかしいだろ!というマニアックな方は国税庁HPの税務大学校論叢へ
つまり、どれだけ売り買いしても消費税等は納めなくていいよ、ということです。
本来であれば、年間1,000万円以上の課税売上高があれば、2年後に消費税等を納めなければならなくなるのですが、その心配はなくなったということです。 (かなりざっくり書いておりますが、本来はもっと複雑な判定等いっぱいあります)
そして、これにより計画的な消費税の還付申告なんていう陳腐な方法は防がれてしまったわけです。 (書くと長くなるので気になる方は個別に聞いてください)
4 「VALU」で儲かった場合、損した場合の税金はどうなるの?~法人税法・所得税法~
次は法人税や所得税です。
まずは法人税から。
そもそも「VA」(株式の単位のようなもの、1VA≒1株みたいな)が法人で取得できるのかは分かりませんが、法人税は所得税と違って所得区分がありませんので、儲かったら利益、損したら損失(経費になるのと同じようなこと)です。
特に難しいところもありません。
本題はこちら、所得税です。
金商法で「有価証券ではない」と決定されたことにより、「譲渡所得」だとしても有価証券ではなく、「雑所得」だとしても先物取引ではない、となったため「総合所得」として扱われることは確実だと思われます。
※国税庁による正式は見解は発表されておりませんので、あくまで個人の見解です。
つまりは、「VALU」売買内では損益通算できるものの、「給与所得」や「事業所得」と「損益通算」できない上に、有価証券などの「譲渡所得」とも「損益通算」できない可能性が高いのです。
「VALU」ですごく儲かっていれば、税金を払いなさい。
「VALU」ですごく損をしてしまっても、そんなことは知りません、他の税金は減らしませんし、繰越もしませんので、来年すごく儲かったら、その儲かった分にかかる税金を払いなさい。
今年損した分減らすなんてしません。
そう言われている気がしてなりません。
今のところ、無敵感はどこにもありませんね。。。
でも安心してください!履いてま・・・ここからが面白いところです。
5 「VALU」を「事業所得」にしてしまえば、損失は損失ではなくなる
さきほどまでの流れでは損をしても損しっぱなしになってしまうことになります。
そして、「VALU」のような新しい取組みに対し、多くの人が躊躇してしまうのも「損をしてしまう」可能性を恐れるからです。
ただ、この「VALU」は自分自身の「VA」(株式の単位のようなもの、1VA≒1株みたいな)を発行し、「VA」単価を上げ、自分で売り、資金調達することができます。(かなりざっくり書いています。詳しくは中島太一さん@taichinakajiの「VALU生存教本」無料公開をどうぞ)
つまりは、「VALU」に参加し、「VA」の価値を上げるために費用を投じ(経費)、時間を費やし(労働)、それにより上がった「VA」の価値でお金を稼ぐ(売上)ことは、事業をしているのと同じことになるのではないでしょうか。
国税庁は、
「事業所得とは農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。」※国税庁HPより一部抜粋
と定めており、
「VALU」で生じた儲け(所得)は、「事業所得」と解釈することもできます。
つまりは、「個人事業主として「VALU」をしている」、ということが成り立つと思うのです。
そう考えれば、事業開始し青色申告で確定申告をすることができます。※各種手続きが必要です。
「事業所得」は「給与所得」や「不動産所得」などと「損益通算」することができる所得です。※詳しくは国税庁HP「損益通算」へ
「VALU」ですごく儲かっても、他の「事業所得」などで損が出てしまっていれば「損益通算」することができ、税金が減ります。
「VALU」ですごく損をしてしまっても、「給与所得」がある人であれば「損益通算」することができ、勝手に引かれた税金(源泉所得税)が戻ってくることがあります。
さらに、青色申告であれば損失を3年間繰り越すこともできます。
こうすれば、損失は単純に損失で終わってしまわないのです。
どうですか?「損をしてしまう」可能性はかなり薄れたと思いませんか?
6 脱「専属サラリーマン」
正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイト、呼び方は違えど会社(雇い主)側から見れば全員「専属サラリーマン」です。
女性もいるだろ!サラリーマンというのはおかしい!とかいうのをやりたい人は今度ゆっくり語りたいので飲みに誘ってください。お酒弱いですけど。
堀江さん@takapon_jpの著書「多動力」や、キングコング西野さん@nishinoakihiroの著書「魔法のコンパス」など、今や一つの肩書きに執着していては生き残れないといった内容を発信されている方が増えております。
僕自身も、「専属サラリーマン」だった時代、本当にこのままでいいのだろうかと悩んだこともありました。
僕は他にやりたいことがあったのもあり、隠れて副業をし、脱「専属サラリーマン」できたことにより一気に視野が広がりました。
でも、だからといって「専属サラリーマン」をしながら、他に何を始めればいいのかなんて分からない人のほうが多いのではないでしょうか。
ここまでを踏まえた上で「VALU」は、まさしくその入り口として使いやすいなぁという印象を持っています。
「専属サラリーマン」であれば「給与所得」があるので、初期に損がでても「節税」に使えますし、儲けが出れば「副業」として成功です。
そういう難しい話は置いておくとして、何より一番大きいのは、とりあえずやってみても損をしない、ということです。
そうです、とりあえずやってみるだけで、肩書きを一つ増やすことができるのです。
これだけで脱「専属サラリーマン」です。
脱「専属サラリーマン」として最初の一歩を踏み出すには、すごくやりやすいので一気に広がるんじゃないでしょうか。
勤めてる会社では部署内で一番役職が低いけど、「VALU」では一番「VA」が高い、とかなったら面白くないですか?
興味のある方、これからやる方、もうすでにやっている方、ここからの無敵感は読んでおいて損はないとおもいます。ぜひ最後までお付き合いください。
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7 こうやって見たら「VALU」って無敵じゃない?
さて、ここまで全部読んでくださった方、長時間お付き合いくださりありがとうございます。順序を大事にする方、好きです。
飛ばしてここらへんから読み始めた方、ナイス時短です。効率を大事にする方、好きです。
繰り返しになりますが、僕が「無敵じゃない?」と思ったのは、現時点で「VALU」は全ての「入り口」になり「楔(くさび)」になるのではないか、と考えたからです。
もちろん、それだけではありません。
「こうやって見たら」というのは「税務会計の視点だと」と思っていただくと分かりやすいかもしれません。
簡単におさらいしましょう。
「VALU」で扱われる「VA」はおそらく「仮想通貨」。
「仮想通貨」は「モノ」として扱われ、「売買にかかる消費税等は非課税」であり「課税売上割合の計算に含めない」。つまり、本業の邪魔にならない。(「VALU」により消費税等を納めさせられる心配がない)※今のところ
他にも。。。
まだ所得区分の決定(これは「譲渡所得」にしなさい!この場合は「雑所得」にしなさい!といった国の決定)がないので、有利不利の判定をして所得区分を決めて申告できる。
現時点では「VA」公開時にSNSの影響力などで自動的に初値が付きます。え?これってもはやただのプレゼントですよね?最初から「儲け」が発生するということですか。
他の人の「VA」を買ったり売ったりすると、もちろん儲かったり損したりするんですけど、自分が「VA」上場する場合は損のしようがないですよね。
「事業所得」であれば損失を3年間繰り越すこともできる。さらに、ある条件を満たせば儲けの中から家族に給料を出すこともできます。
決算書の見栄えをよくすることにも使えるなぁとか、公では発言できないこんなこともできるなぁ、、、と本当に無敵感すごいです。
もっと詳しく聞きたいな、こんな変な奴いるんだ話してみようかな、という人がいらっしゃれば、僕は食に興味なくお酒も弱いのでカフェにでも誘ってください。コーヒー2杯でおなか壊しますけど。
8 おわりに・・・
個人的な見解を長々と書かせていただきました。
本当に「無敵」と思えるところは、ちょっとインターネットにアップすることに抵抗のある内容だなぁと書いている途中で思ってしまったので、個別で聞いてください。
「VALU」のような新しい仕組みはこれからどんどん生まれてくるでしょう。
その度に法整備が遅れて行われ、税金に関しては生命保険と同じように税務署といたちごっこを繰り返すわけです。
これからの各省庁の対応が本当に楽しみです。
決まりがなければ選択肢があり、いざ決定が出れば別の角度からの視点が生まれ提案の幅が広がるので、停滞しないことって本当に大切ですね。
税理士さんも常に勉強しなければ追いていかれますし、円→ビットコイン→「VA」と動いて、「VA」で儲かって課税、ビットコインでも利益が出ていたりしたら、「VA」で得た利益に追加課税とかなるんですかね?税金どうやって計算したらいいんでしょうね。誰か教えてください><
税法の必殺技「遡って訂正」とか出てきたりした日にはもう、楽しみで仕方ないですね。
税務の視点を置いておいて、「VALU」が一気に浸透すれば、「雇われる」という概念がなくなりそう。
全員が「VALU」内で「自分株」を発行していて、この人と仕事したいな、と思ったらその人の「VA」を買って一緒に仕事したり。
こうなったら求人が必要なくなるし、ハローワークも必要なくなるかも。
最低賃金上げろ!なんてデモも起こらないし、国民皆保険制度も意味を成さないかも。
10年後に消える職業とか、嘘つけー!って思っていたけど、それよりも早く職業淘汰されるかもしれない。
最後、思ったことを思ったまま打ってました。
こんなことを考えるのが好きな奴です。
一般的ではない見解や捉え方が好きな方はどうぞお気軽にご連絡ください。
税金のこと3ミリぐらいしかつぶやいてないツイッターもあります。お気軽に。モッコメリアン@moccomeri
長文、乱文失礼致しました。久しぶりに書くと楽しかったです。またいつか、お付き合いください。
※これらの内容は、平成29年7月18日時点の法律に則った内容と、あくまで個人的な解釈を記載しております。
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